銀色 完全版

銀色 完全版

ブランド ねこねこソフト
発売日 2001年8月31日
ジャンル ビジュアルノベル18禁
原画 白凪マサ / 秋乃武彦 / 葵渚 / 綾瀬悠
シナリオ 1章 片岡とも
2章 ヤマタカユウキ
3章 高嶋栄二
4章 ALFRED、東トナタ
音楽 feel・Cats / Little Wing / Ebi / 443
ムービー

シナリオ

時を経て銀糸を巡る哀しく切ないストーリー。
章仕立てになっており、5章+α構成。
章ごとに銀糸を核に物語が展開する。
大局的には起承転結で形作られている。
幕間に5章の一部+αの話が細切れに挿入されている。
映画調のデザインとなっており、上下黒帯で字幕のようにテキストが出る。
オートモード推奨となっており、英語テキスト、ボイスもあり、
エロゲではかなり特殊なつくりとなっている。
ぶっちゃけ英語版はいるかいらないかで言われればいらない(爆
シナリオは、なんともやりきれない!!鬱ゲーの部類に入る。
三章以外は、その時代のあたりまえを描いているのだろうが、やりきれない感が漂う。
個人的に一番すきなのは第一章。
ナルキが好きだからかもしれんが。

テキスト

各章ごとにライターが違うので、文体にちょっと違いはある。
1章のともさんでは〜の日のことで一貫してるし。
全体的に読みやすい部類。
映画調ということでヒロインの地の文はボイス入りとなっている。
1章と3章はオートモードで映画としてもよくできたテキストだが、
他は主人公ボイスがないので、主人公の地の文になるとゲームになってしまうな。

グラフィック

古めの絵だが、特に人を選ぶ絵でもないだろ。
たまに目や構図が変だけど。
複数人いる割には統一感ある。
完全版で追加されたCGとのクオリティの差はあるのが、
ギャップを感じてしまって既存のCGを質を下げることになってるな。
シナリオの長さに比べたら多め。
背景はいまいち。枚数は普通。

立ち絵

登場人物は少ないし、立ち絵あるひとでも少ない。
服装差分はないし、仕草差分は2,3通り、表情差分も6程度。
背景やイベントCGを使い、あまり立ち絵を使わない印象があるので、あまり気にならなかった。

音楽

淡白な曲も多いが、切なさを引き立てる曲がよかった。
「銀色」は作品にもあってて良い曲。

操作性

Nスク。
スキップ速い。
セーブスロット20個。
ロード時バックログ生きてる。
OPED飛ばせない。BADENDは飛ばせる。
選択肢まで進むが既読スキップになっている。
総じて、まぁまぁ。
セーブスロットが少ない気もするが、
シーン回想もあるし、スタートからどの章での始められるのでたいして困らない。
CGモードでヒロインに関係ないCGが表示されないのが残念。

ムービー

ムービーっぽいのがあるが、正確にはAVG用のエフェクトを使ってムービーっぽく見せてるだけなので、評価はしないでおく。

以下ネタバレあり↓↓↓↓↓↓

章別感想

第一章 逢津の峠

逆説的になるが、ナルキと対を成す物語。
…眩しかった日のこと…そんな夏の日のこと…
たしかにこれもそれだけなのかもしれない。
この時代、生きることの辛さを描いただけのそんなあたりまえの話。
名無しは自身が生きているのか疑問を持ち、
生きていながら死んでいる、実際死んでいないが生きてもいない。
『錆』でこずえが思ったことを名無しもまた思ったのだろう。
生きた証。あやめの花。
名前を得ることで花に刻むことで生きた証とした。それが願いだったのか。
なんとも感慨深い、震えるほど現実だ。。。

第二章 踏鞴の社

なんともやりきれない物語。
他人から見て不幸でも、本人は幸せだと感じるというやりきれなさ。
この時代で村社会では普通のことかもしれんがきつい……
父親の段階で、狭霧をこういう思考が生まれてしまうよう、扱われてしまったのが原因だろうな。
籐野らんさんの演技が微妙に下手なんだが、わざとではなく、デビューからまだ日が浅いせいかな。

第三章 朝奈夕奈

女って怖っ!!!な物語((;゚Д゚)ガクガクブルブル
ねーちんもうイカレテルって!!!!
今風に言うなら、みごとにヤンデレ!
バルねこでこのセリフは知っていたとはいえ、
「裏切り者っ」に止まらずこんなに暴言を吐いていたなんて……
真面目にシナリオを語ると、
ねこねこソフトにおける最初の四章構成での三章であり、『壁』の役割。
銀糸が絶対ではないと印すための物語。
銀糸が幸せにしてくれるでもなく、頼っても意味がない。
これ自体は伝わってきたし、姉妹愛もあったが、
ねーちんのキャラが凄過ぎて陰に隠れてるようなのがもったいない。

第四章 銀色

過去と現代がクロスオーバーしてて、同じセリフで画面チェンジするのはなかなかおもしろい。
どっちか一方だったらしょぼかったろう。
過去は銀糸生誕秘話以外は過去あやめ(以下あやめ)も含め、ついでの印象はあるな。
現代あやめ(以下銀子)は設定がすべてだな。
一言もしゃべらずにあそこまで可愛さを表現できるのはすごい!

名無し生誕秘話。しっかりをは語られてないけど。
これもこれでこの時代の現実と生きることの辛さの一端なのだろう。
明らかにビジュアル的に優遇されてないので、
こういう役回りなのかな、とか思ったり。
第四章の続き。
銀糸は因果を歪めてしまうものでもあり、
あやめへの思いと未練とか詰まったものであったわけか。
最後は銀糸をどう解釈するかで、ご都合主義に見えてしまうのがもったいないかも。
銀子と会うタイミングが悪かったが、それからの演出はうまかったな。
ただ、銀子の母親を無自覚のまま殺してしまったことに対する補完がないのが残念。

銀色

幕間での銀糸の行方やこずえ姉の補完。
銀糸という存在自体の疑問や扱い。
各章での繋がりが見えてきて、完全版で追加したのはかなり正解だろう。
無印をやった人には追加シナリオの終わり方がこれでは納得しないだろうけど、
完全版からやった人には朱へ続くってのは良い流れだと思う。

おまけ

おまけは相変わらずぶっ飛んでましたwww
健ちゃんを師匠とし、銀子を篭絡したのはおもろかった。
ただバニーじゃないほうがよかったな(爆

総評

各章ごとにテーマがあり、それそのものでも完結しつつ、全て繋がっている。
全体を見ても、各章にはそれぞれの役割があり、うまい具合に章構成している。
記憶に残る場面が少ないので、もうちょっと演出力と見せ場が欲しかったところ。
多少の布石回収不足はあれど、まとまっていて良作だろう。
ただ第一章に限って言えば、傑作と言っていいかもしれない。
最後の場面はちょっとうまくなかったが、自分内で好意的に解釈すると、あやめとの未練である、一緒にあやめを見るということが達成されて、銀糸は役目を終え消滅した。
銀糸が消滅したことにより、歪められた因果は正され、各章の幸せな結末となった。
パラレルでも銀糸の中の思いでも解釈は、なぁなぁで感覚でね。
まぁこの辺が落としどころだろう。
ただ因果が正させたのならば、石切はどうなったのかが語られてないのが難点だが。
ぱっと見はご都合主義だけど、そもそも銀糸自体そういう存在だしな。
逆に奇跡を安易に使わず、奇跡の代償・歪みを見せることに注力し、
章構成で銀糸の役割をうまく表していたと思う。