G線上の魔王

ブランド あかべぇそふとつぅ
発売日 2008年5月29日
ジャンル ヒューマンドラマADV
原画 有葉
シナリオ るーすぼーい
音楽 tiko-μ
ムービー 神月社

シナリオ

車輪のときもそうだったが、下手に感想が書けないこの作品。
結果だけいえば、るーすぼーいは期待に応えてくれた!!!!と思う。
車輪と違って現実主体で、車輪のあとの作品ということもある縛りの中、うまいこと話を操れた印象。
構成は、車輪のような一本道型ではなく、最近ので言えばNG恋のような、ヒロイン脱落型。
ハル以外のルートは、主人公と関わることで、ヒロインが成長し、
ハルルートでは、各ヒロインを通して主人公の失くしていた心が発揮され、成長するルート。
分離したのだから、そこそこ尺があると思ったが、花音以外は短かったし、正直微妙。
当然見所はハルルート。裏のかき合いは燃える!!!
しかし魔王の正体や叙述トリック、サスペンスに期待してるとしょんぼりするかもしれない、
ヒューマンドラマと銘打っているので、本当の見所はそこだろう。
そういう意味でも最終章も文句なしの出来!!!
個別ルートはちょっとあれだが、しっかり一本芯は通ってる!

テキスト

叙述トリックは、あからさま過ぎだが、
下手に読まれるより、真相を二極化して惑わせにきたと考えるべきかな。
心理戦での裏のかき合いなど、白熱する調子で描かれてた。
車輪のときもそうだったが、主人公がカッコイイ場面を書くのがうまいね!
車輪のときから変わらんが、エロテキストが下手だな〜。
地の文はいいのだが、声のほうはあえぎばっか連発でつまらん。

グラフィック

差分入れず129枚。もちろん塗りも綺麗で文句なし。
重要な場面にしっかりイベント絵入れてくるし、
通常出てくるイベント絵も、よく使われてプレイしてても飽きさせない。
背景は差分含めず33枚。
ちょっと少なく感じるが、プレイしてると十分だと感じる。
場所によるが塗りがチープなのもあるが、塗りが細かいのもある。

立ち絵

表情差分10種類前後、服装差分、仕草差分が3〜5くらいか。
組み合わせれば、結構な数になってる。表現するに十分な枚数。
ここで一番珍しかったのは、立ち絵が実は全身絵だったってこと!!!
普通に見える部分し描かれていないと思ってたが、
全然使われないのに、全員分全身絵が入っていてビビった!!!
でも、こんなんあるんなら使えよと言いたい……

音楽

OP「ANSWER」とED「Close Your Eyes」は名曲だわ。
BEST OF あかべぇそふとつぅで既に聞いてたが、ゲームやって評価更に上がった!!!
特に「Close Your Eyes」は使いどころもよかったし、インストもいい出来だった。
BGMはクラシックのアレンジなので、当然いい曲がそろってる。
クラシック好きにはなかなか楽しめるBGMじゃないのかな。
ベーシックなアレンジから、コミカルなのまであって楽しい♪

操作性

スキップ速い
セーブスロット72個
オートセーブなし
ロード時バックログ死んでる
チャプタージャンプあり
総じて普通。
ボイスやエフェクト関係の細かな設定があったのは嬉しい。

ムービー

前半に流すのにとっても適した、カッコよくテンション上がるムービー!
曲にもあってるし、雪のエフェクトがとっても作品にマッチしてる。
画像の入れ替わりとカメラワークが、うまい具合に疾走感を出していて盛り上がる!!
イベント絵を豊富に使っているように見えるが、それがネタバレにほとんど絡んでないのだからうまいチョイスだ。
一万円が振ってくるエフェクトなど、最初のところでもうまく魔王と金を絡ませててうまいわ。

以下ネタバレあり↓↓↓↓↓↓

キャラ別感想

美輪 椿姫  CV:紫華すみれ

金の亡者だった京介が、愛に目覚めるシナリオ。
椿姫は魔王との一軒で成長し、この章のタイトル「鏡」のとおりになっていた。
京介は椿姫という善の鏡に自分を写して、金の亡者ではなく、愛を、偽善ではない本当の善を見つけ出したのか。
椿姫の善や魔王との一軒をうまい具合に使っていて、
権三との戦いも燃えたが、いかんせん尺が足りなかった。
京介が変わっていく過程がなさすぎたのが残念だったな。
椿姫の落ちていく様は見事だったな、こういう駄目なほうへ人が落ちていくのを描くのがうまいね。

浅井 花音  CV:河合春華

泣きでいえば最終章よりもいい出来かもしれない!
最後の母のためのプログラムとその後の会見は、最高に泣けるシーンだった。
花音母はどこまでいっても、駄目な奴で死んでも治らんと思っていたが、まさか改心するとはな。
母を受け入れ、さらに母親に自身を気付かせた花音もまた大きく成長したな。
しかしハルルートの花音の扱いが酷い!このままの花音を放置なんてかわいそすぎるよな。。。

白鳥 水羽  CV:海原エレナ

ツンデレてるときの水羽は最高だったのに、いきなり3年後はないだろうに……
水羽のまま育ってくれると思ったのに、ユキっぽくなってしまってしょんぼり。
たいした事件もないし、ユキがいなくなって帰ってきただけの話なんだがね。
短いしつまらん、水羽の成長を描くのには成功してるが、それがおもしろさには繋がらなかった。

宇佐美 ハル  CV:かわしまりの

ハルの告白シーンはあまりのムードのなさにびびったが、
そのかわり切実さはびんびん伝わってきた。
告白から最後までの疾走感はよかったわ、止められねぇ!
最終章の京介のカッコよさは異常!!!!
4章までは微妙な主人公だったが、5章で主人公らしさ見せ付け、
取調べで最高の漢らしさを見せてくれた!!!!!!
最後まで魔王の罠にかかったままだったが、ハルを守るために、
自ら悪役を演じ罪を背負って戦うのはカッコよすぎる。
接見のシーンも京介のフォローがすばらしい上に、取調べと合わせてG魔一番感動のシーン。
金の亡者となり生きてきたが、最後には京介の優しさを証明する仲間達がいたんだよな。
出所後の再会もなんとも暖かなものだった。どうか3人には幸せを願う。
再会の方法としてはなかなか斬新だが、こういうのも悪くない。

総評

るーすぼーいは期待に応えてくれたが、
期待が大きすぎた感が否めない。

魔王を追っていく過程や、魔王の正体を考える過程のノリはいいのだが、
共通やハルルートでの、伏線の張り方があからさま過ぎて、意外性がなくなってしまってる。
車輪のようなフィクションの法の世界ではなく、
現実準拠の世界だから前作よりも縛りがあるので、派手な仕掛けなどが使えなかったってのもある。
逆に現実という枠を得ることで、憎悪の連鎖や取り調べなどそれを有効活用していたってのもある。
総じて、ヒューマンドラマと見ると車輪に匹敵する出来!!なのは確か。
魔王やハル、主人公の思いの交錯や、最終章はまさにドラマティックだったし、
トリックうんぬんはあるだろうが、プレイして損はないだろう。
余談だが、終始魔王に踊らされてたが、ハル以外のヒロインルート入ると、
魔王はすぐに引き下がるのは、慎重を期すのはわかるが、
この計画だと次はないし、執念が強いくせに他人に依存しすぎなのはどうなんだろうね。